校舎から出ると、そこは部活動が終わった生徒が帰っている最中だった。




その人混みを掻き分け、私は校門を出ようとした。




その時、また腕を引かれた。





バッと後ろを振り向き、逃げるため手を振ろうとする私に、優しく心に触れる声が聞こえた。





「どうしたんだよ、灯」





その聞きなれた声に安心して。




その優しい声に、涙が流れて。




私は、走るのを止めた。




「瑞穂…」




名前を呼んで、じっと瑞穂を見つめる。



瑞穂は私が泣いたことに驚いて、急いで門を出ると外壁と自分で人目から私を避けるようにしてくれた。




そうして、今度はさっきよりも優しい声で私に尋ねた。




「どうしたの?」




そうして、流れる涙を制服の袖で拭き取った。