「颯太兄、なんで?」

「なんでじゃねぇわ!教室来ても、電話してもシカトするわ、家行ってもいねぇし…!お前、マジバカじゃねぇの?!」



わっ!


出た、


口癖の"バカじゃねぇの?"


あたしもムッとして言い返す。


「はぁ?あたしが家に居なかったのは自分のタイミングが悪かったせいでしょ?あたしのせいにしないでよ!」

「あぁ?じゃあ、シカトこいたのはなんだったんだよ!」

「それは…それはー…」

「それは、なんだよ?」

「…大嫌いだからだよ!バカ!」


あーあ…



素直になれないあたしのバカ…。


隣にいたエミリも「あーあ」と呆れて頭を抱えた。


「お前なぁ!いい加減にしろよな!少なくとも俺は……」

「なに?」

「あー!もう!バカちんが!」


黙ってあたし達の喧嘩を見ていた人達がザワザワとまた騒ぎだす。


颯太兄の甘い匂い。


温かい温もり。


あたし、抱きしめられてるんだ。

そう、確信したのと同時に耳元で颯太兄の甘い声がする。


「アホ」


「バカ」


「チビ」


「颯太兄もね」


「マヌケ」


「ナス」


「好きだ」


「………」



……………。

……?