「ごめ……なさい


ごめんなさ……



殴らないで」


ギリギリ聞き取れるような声でそう呟くと、閉じられた目から涙が流れてきた


冗談だろ??




俺が彼女にどうしようもなく魅かれたのはこの時だった





木々を揺らす風が焦燥感にも似た感情を呼び起こして、まわりに誰もいないことをいいことに俺は彼女の横にしゃがみこむと、流れる涙を指で拭った


ビクッと体が強張る


「大丈夫

大丈夫だから」



この声は夢の中の彼女を救えるだろうか?




まじで暴力をふるわれているかも




そんな疑心は、すぐに確信へと変わった