黒のシャツをうでまくりして、さらっとデニムを履いている

黒いシャツがチョコブラウンの髪を引き立てていて、うごくたびにやわらかに揺れている

襟足のかかるうなじが男のくせにキレイで吸い寄せられそう

そんな変な気分になって、目をそらした



今日は本すら持って来てない彼


「本は?」

「今日はレポート書くから」


そう言ってレポート用紙になにやら書き始めたからアタシは机に乗り出して覗き込む

字が大きすぎて罫線からはみ出てる



「この、行の間隔をわきまえない字が景気のいい字?」

「景気っていうか・・・・元気のいい字だな」

「何それ、寒い」


とうまくんがチョイチョイと指先を曲げてアタシを呼ぶから、少し前のめりになって顔を寄せた


その途端後頭部に腕をまわされてホールドされると、意地悪に笑って



「おでこに“肉”ってかいてやる」



とボールペンをアタシに近づけてきた
ペンを持った手でアタシの髪を額からよけるように撫でた