近づいてくる足音に心臓がうるさい



どんどん近づいてきて

アタシはただ座り込んで

悲鳴をあげないように

両手で口をおさえる



目を閉じて


研ぎ澄まされた聴覚に



足音が目の前で立ち止まるのを感じた





必死で顔をおさえていても

こらえきれない涙がこぼれた








動かない足音

薄く指の合間からまわりを覗き見る


どこかから差し込む光が割れて散らばるガラスの破片に幾重も反射して、あたりを虹色に染めていた














「大丈夫


大丈夫だから」