ひと気のないところへと連れて行かれる

「どうしたの?」

「お前さ、昨日の午後・・・・キャンパスの庭にいた?」

「昨日?」

・・・・そこであみの彼氏、加賀見とうまと話していた

「うん、いたよ」

「誰かと話してなかった?」

「・・・・あみの、彼氏」


まことの表情が険しくなっていく


「ああ、あいつか・・・・同じ大学だって知ってたのか」

「昨日知った」

「うそくせえ」

「ほんとだよ」

「どうだかな…」

アタシはばれないように小さく息を吐いて左手でおでこを軽くおさえた


だめだ、もうめまいがする

何を言ってももう届いてないし

きっとこの後に起こることは避けきれない

言い訳しなくても言い訳しても、それが本当でも嘘でも関係ない

まことは、きっとアタシの顔を見ただけでその衝動を抑えられなくなるんだ

そして、そうさせているのは、きっとアタシだ



黙ってしまったアタシの目の横でまことの腕がこちらに向かってのびてくるのが見えた

一瞬身をすくめたけど、そんなことは何の意味もなさず、防御にもならないってこともよく知っているけど


これだけはいつまでたっても

慣れない