勝手にメランコリックな気分になっていた私を朋の声が現実に引き戻す。
「家着いたぞー。ってか、奏全っ然俺の話聞いてなかっただろ!」
確かに6割くらいしか聞いてなかったけど、話の流れくらいは分かる。
「聞いてたよ。もうさ、来るもの拒まずは止めれば?たまには朋から好きになった子に告白とかすればいいじゃん。」
来るもの拒まずは止めればっていうのは、アドバイスじゃない。
私の我儘だ。
「俺だってそれが出来れば苦労しないんだよなぁ。俺もさ、本気で好きな子が出来たらヤキモチとか焼くのかな~。ってゆかさ、奏昨日の夜どこ行ってたんだよ?」
朋から返ってきたのは珍しくまともな答えだった。
そうなのだ。
朋から好きになったり、ましてや朋から告白したなんてことは今まで一度もなかった。
だから、いつも朋は受け身。
で、束縛という名の契約違反が露呈すればそこでその契約は終わりを告げる。

