状況が掴めないまま、一人であわあわしていると、少し腕の力を強めた大倉くんが言った。 「利用していいって、言ったよね?好きになってくれなんて言わないから…。こういう時くらい頼ってよ。」 もうダメだった。 あんなに利用しないなんて言っていたのに、目の前の温もりを手放せるほど、今の私は潔癖でも、強くもなかった。 私は大倉くんの腕の中で、何年かぶりに声を殺さずに泣いた。