「どうもこうも、ルジランたちが『Dybbukが出た』ってエラく騒ぐから、むやみに刺激しないように出航は控えてほしいんだよ」

「……ディバック? なんだそりゃ」

 紫の肌をかきむしって、管制室長のルークはめんどくさそうに応えた。

「ルジランたちの言葉じゃないが」
「ああ、そいつは地球語だ」

 因みに今、白銀たちが喋っているのはこの星域一帯の公用語だ。

 星域により公用語が異なる。ついでに言えば、白銀はルジランの言葉をある程度は理解出来る。

 しかし、彼らの文化までは理解している訳ではない。

「で、その『ディバックが現れたら世界は崩壊する』ってぇいう言い伝えがあってだな……」

「悪霊の1匹でか? 冗談言うなよ」