さすが屈強な精神と肉体のリャムカ。出会う敵をことごとく倒していく。

 それをナナンが手際よく縛り上げていくという流れだ。

「!?」

 拓けた場所に全員が同時にたどり着いた。

 残った敵は6人。その中の男が声を張り上げた。

「ベリル!」
「やあ、オレオ。元気そうでなにより」

 しれっと軽く左手を挙げたベリルに、オレオと呼ばれた男は鋭い眼差しを向ける。

「大人しくしていたらどうなんだ。キサマはすでに終った存在だろうが!」

「そんな事は他人が決める事ではない。引退なんてガラじゃないね」

 ベリルは肩をすくめて、睨み続けるオレオを見やった。

「Dybbuk(ディバック)め……」

「昔から色んな呼ばれ方をしてきたが、とうとう死人の霊になったか」

 とぼけて言ったあと、ベリルは口の端をつり上げてゾクリとする目をオレオを向けた。