ベリルはこの船を熟知しているように、ボタンを素早く押していく。

「下にいるのは誰だ」
<オイラだよ>

「左に照準を合わせておけ」
<え、なんで?>

「上はリャムカだな」
<うむ>

「照準は10時の方向だ」
<了解した>

「ディラン、私が合図したらHDを」

 ベリルは言いながら座標を入力した。

「……」

 テキパキと指示をくだしていくベリルを唖然と見つめて、ディランは開き直ったように目を釣り上げる。

「やってやろうじゃない!」
「それでいい」

 相手の攻撃に当たらないように船を動かし、その時を待つ──

「セット」
「!」

 ディランはHDのスイッチに指をあてた。

「アップ」

 ベリルの言葉にHDのボタンを押す。