「へぇー、ゆいに彼氏ね」


「うっ…」


「色気付きやがってこんにゃろっ」


「痛い痛い痛い!!!」







妖しい笑みを浮かべた姉は私の頭をガシガシと撫でる。

目を細め、なんどか逃れて。



うわー。

言っちゃったよ。








「寿には認めて貰えたん?」


「いや、結構邪魔します」


「やろうねー、あいつシスコンやし」


「そうかな?」


「ま、ゆいのことよろしくね」







さっきの笑みはどこへやら。

今度は、柔らかい笑み。



そうや、後三日で家族とは離れ離れ。

またロンドンに帰っちゃうんやった。








「あたしらロンドンに住んでるから、なかなか日本帰ってこれへんけど」


「……………」


「なんか先輩やら彼氏やら見たら安心したわ」


「お姉ちゃ、」


「いい仲間持ったね」







涙は出ない。

変わりに頬が赤くなった。





それは皆同じ。







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