俺がいても、ゆいさんは英寿さんを求める。

今みたいにこうやって。






悔しい。

悲しい。

情けね。









「ここに来てゆいは俺の隣に座らんかった」


「え?」


「お前を求めてんやろ」


「…………」


「今更しょーもないこと言うな」









パタン、と携帯の閉じる音。

その携帯をテーブルに置き、英寿さんは立ち上がって。










「ダサい嫉妬なんかすんな」









言葉を投げ、部屋から出て行く。





どこ行くんすか?

なんて、言えへん。






気を使ってくれている。

それが伝わってくるから。









「確かに、ダサいな」









薄い笑いは髪で隠れる。

けど何故か、心は満たされた。









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