エレベーターを下りてエスカレーターへ。
一階に辿り着き、出口まで歩いた。
てかどうやって帰ろ。
バイクないし、ここの県あんま知らんし。
誰か下の奴呼ぼっかな。
あ、携帯ないっちゅーねん。
「話終わったん?」
「…………」
「運転手待たせてあるから、それで帰りや」
一人でウロウロしていた時。
出口に立っていたのは、尚輝。
兄貴、か。
そう呼ばんけど。
「お前のせいで色々荒れたわ」
「でも俺の芝居、凄いっしょ」
「…………」
「病院継ぐのは俺、留学も卒業してから俺が行くねん」
半笑いがムカつく。
まんまと騙されたのがムカつく。
こんなんが兄貴って大丈夫か、俺。
蓮みたいに腹黒いぞ。
「早く帰り、ゆいちゃんが待ってるやろ」
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