移動し、階段を上がる。
廊下を進み、また数段の階段を上って。
扉を開ければ冷たい空気。
と、曇り空。
風で髪が靡く。
それを手で除けながら尚輝と向かい合った。
「寒っ、他に場所無いん?」
「早く帰りたかったら早く話して」
「何を?」
「分かってるやろ」
「あぁー、龍のことな」
正直、うちもめちゃめちゃ寒い。
でもこうすれば早く話を聞けるし。
「今後は逃げたりせーへんの?」
「せーへんの」
「そんなに俺が龍に近付く理由が知りたいねんなー」
「ええから早くして」
私の言葉に尚輝は笑う。
そしてタバコを取り出し、火をつけた。
白い煙が空へと昇る。
私は言葉を待つだけ。
「親父が探してんねん、龍のこと」
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