教室から出て行く尚輝を見送ったりしない。
背を向け、自分の席に座り込んだ。
頭が痛い。
胃が痛い。
だって何が目的か分からないから。
ただ私が龍に一番近いから近付くだけ。
協力なんてしない。
龍の情報を渡さない。
「華風、この問題解いてみろー」
「……………」
けど、もし龍が家族と会いたかったら?
本当は望んでいたら?
私はそれを阻止していることになる。
「はい、正解」
「ゆいすごーいっ!!!」
「ありがと」
知りたい、尚輝が龍に近付く意味。
それを内密にする意味。
龍が何か用事がある時に聞こ。
尚輝を絶対問い詰める。
そう、絶対に。
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