「美亜、美亜待てよ!!」
俺が呼んでも、
美亜の足は止まることはなかった。
美亜が向かってる場所が屋上だってすぐにわかった。
「待てって!!」
やっと…やっと…。
美亜の白い細い腕を捕まえた。
その瞬間、美亜の足がピタッと止まる。
「先輩、あたしやっちゃったよ」
俺に背中を向けてた美亜は
くるりと方向転換して俺のほうを向いた。
にっこり笑ってる顔には
殴られた後がハッキリわかる。
口元はきれてて、
…少し、腫れていた。
「み…」
「あ~あ、キレるつもりなんてなかったんだけどな…」
俺の言葉を遮って言葉を発する美亜。
声、
震えてんぞ…。
我慢してんの、
まるわかりだぞ…。
なのに…
なのになんで
なかねぇんだよ!!!
