少しまじめに答えたのを察してか
龍也は何もいってこなくなった。
少したってから口を開いた龍也。
「お前かっこいいのに、もったいねぇぞ?」
「そりゃそりゃ。お世辞をどうも!」
龍也の言葉を軽く流した俺に対し
ため息をついた龍也。
「…………」
ただただ黙って校庭を眺めてる俺。
美亜の姿が目に入る。
一生懸命に短距離を走ってた。
てか、はやっ!
あいつ走るのはやっ!
一緒に走ってるやつが
やけに遅くみえるのは俺だけなのか?
走り終わった後は
「いぇ~い、勝った~!!」
なんて本気で喜んでるし。
…いまどきあんなやつ、珍しいな。
「翔」
龍也に呼ばれ、校庭から視線をはずし
龍也のほうを向いた。
「んだよ」
「いや、何でもねぇ」
何かいいたそうな…。
でもいいにくそうな…。
そんな龍也をみて
俺は何もきかなかった。
気づけば授業も終わって
少し夕焼けが見え始め
下校の時刻となった。
