貴女に捧げる夜

お風呂から上がり
キッチンへ通される。



材料ないから、ケーキは出来ないけど…と言い、



ふわふわの玉子で包んだオムレツを作ってくれて



あまりに美味しくて、つい



『本当に料理上手だったんだ』



と口を滑らせ、睨まれた。



『私、愛されてる自信なかったんだよね。リョータに。
だから、あんなに束縛したり
感情的になったりしちゃったんだよね、きっと』



彼女が呟いた。



悲しそう?
寂しそう?



違う。
彼女は薄く微笑んでいた