一度そんな気持ちになってしまったら、心細さに自身が支配されてゆくのを止められない。


明かりはまだ点かないの?
さっきの落雷はどこで?
外はどうなっているの?
ここから出られるの?

ドキドキドキ…

鼓動が早くなる。

間を置かずに再び鳴りだした雷鳴がユキの不安をじわじわと増長させてゆく。



あぁ、もうっ!



勝手な想像だとはわかっているが、止まらなくなった雷鳴に不安感が増してゆく。

想像が現実になりそうな緊張感を味わう。



まだ明かりは点かないの!?



不安げに周囲を見回すと、闇に慣れた一部の人が停止したエスカレータを下り移動を始めていた。

しかしユキは足がすくんで動けなかった。



外に出るのは正しい判断なの…?
どうしよう…。



シャツの胸元をぐっと握りしめたとき。


「大丈夫ですよ」


肩に温かな気配を感じると共に、艶っぽくそれでいて落ち着いた声が降ってきた。