ユキとマモルは、展示会フタッフによって整然と整理された列に並んだ。

「ここにいるのは、オレ等と同じ目的の人達でしょ?混んでることがうれしいだろ?」

「うん・・・」

それはユキも気づいていた。

待つことがキライなユキがわざわざ並んでまでも見たかったこの展示会。

制作者と誕生日が同じことにあやかって、彼に憧れにも似た感情を抱くユキが一生に一度は見ておこうと思った特別展示だということを、マモルも知っている。

今日は誕生日ではないが、彼の誕生日は有名だから、きっとその日は彼の生誕を祝う人たちでこの場は溢れ返ったに違いないのだ。

ユキの性格上、いくら誕生日という記念日であっても、激しく混雑している会場には決して足を運ばないはずだ。

だから、マモルは今日こそはユキに見せてやりたかった。

姑息な手段を使ってでも。