そのとき。

突然店内が真っ暗になった。

「キャァ」
「うわっ」
「何だ!?」

ちょっとした悲鳴が聞こえる。

ユキもドキッとするが、しかし、ここは慣れた本屋だ。
そんなに慌てることはないととっさに自分にいい聞かせる。

これはただの停電なのだから。

しかし、ユキの心音が落ち着く間もなく。



ピッシャーン!!!ドォォォォンン!!!



明らかに落雷とわかる轟音と振動が響いた。



「きゃっ」



ユキも悲鳴を上げた。

ユキは音に敏感な質だった。
音によって刺激されると無駄に想像を煽られるのだ。

雷鳴が大きな音だっただけに。



怖い…



ユキは途端にそんなか細い気持ちになった。