「お前・・・自己犠牲な奴だな」
霧澄は苦笑いをしながら地面に座った。
「ごめん・・・」
魅楼は呟いた。とても小さくて、脆く感じる。聞くことにも一苦労だった。
「あ?そりゃあ、お前重かったけど――」
「そのことじゃないよ」
魅楼の言葉に呆気に取られた。先ほどの「ごめん」と別人のようだった。とても強く、ハッキリした言葉。
魅楼はうつ伏せの体をゴロンと転がり、仰向けになった。
「じゃあ、なんだよ・・・」
霧澄は動揺していた。なんで動揺しているのかわからない。だが、自然に言葉が小さくなるのがわかった。
「後継者が、苦しめてきたんだよね。ここに居る皆、後継者を恨んでいるんだよね。ごめん、ごめんね。俺たちのせいで、皆が・・・」
鼻の奥がツーンとした。涙が流れそうだったから両腕で目を隠した。霧澄の顔を見るのが怖い。どういう顔をしているのか、知るのが怖い。だけど、謝らないわけにはいかなかった。謝らないまま平然と、霧澄や皆の隣にいることは何があっても許せなかったからだ。
霧澄は呆気に取られていた。
普通なら、相手が憎んでいる内容を、わざわざ自分から掘り返したりしないのに。俺がまた睨んで、蔑んで、貶すかもしれなかった。その可能性は充分あったのに、それでも謝った。魅楼の性が、そうさせたんだろうか。
霧澄は魅楼の隠された顔を見つめていた。
「「ごめん・・・」」
霧澄はハッとして周りを見た。今、誰かの声が重なった気がしたからだ。
あぁ、やっぱり似てる。“あの人”に。
「謝んなよ」
思わず口に出していた。
「お前が何かしたかよ、お前が奴隷制度を作ったのかよ。違うだろ?」
霧澄は魅楼の頭に手を乗せ、髪をクシャクシャにした。
魅楼は肩を震わせ、両腕で隠していた顔をゆっくりと出した。
鼻水が出ていて、目には涙が溜まっていて、顔を歪めていた。
「確かに俺も最初はカッとしちまったけどよ、お前を責める理由なんてなかった」
霧澄は魅楼の頭から手を離し、俯いた。
「あれぇ、魅楼サン。起きてたんだ」
聞き覚えのある声が聞こえた。翠柴の声だった。
タイミングの悪い声に、驚いて心臓が暴れていた。胸を押さえ、顔を歪めた。
同じく霧澄も驚いたようで、胸に手を当てていた。
霧澄は苦笑いをしながら地面に座った。
「ごめん・・・」
魅楼は呟いた。とても小さくて、脆く感じる。聞くことにも一苦労だった。
「あ?そりゃあ、お前重かったけど――」
「そのことじゃないよ」
魅楼の言葉に呆気に取られた。先ほどの「ごめん」と別人のようだった。とても強く、ハッキリした言葉。
魅楼はうつ伏せの体をゴロンと転がり、仰向けになった。
「じゃあ、なんだよ・・・」
霧澄は動揺していた。なんで動揺しているのかわからない。だが、自然に言葉が小さくなるのがわかった。
「後継者が、苦しめてきたんだよね。ここに居る皆、後継者を恨んでいるんだよね。ごめん、ごめんね。俺たちのせいで、皆が・・・」
鼻の奥がツーンとした。涙が流れそうだったから両腕で目を隠した。霧澄の顔を見るのが怖い。どういう顔をしているのか、知るのが怖い。だけど、謝らないわけにはいかなかった。謝らないまま平然と、霧澄や皆の隣にいることは何があっても許せなかったからだ。
霧澄は呆気に取られていた。
普通なら、相手が憎んでいる内容を、わざわざ自分から掘り返したりしないのに。俺がまた睨んで、蔑んで、貶すかもしれなかった。その可能性は充分あったのに、それでも謝った。魅楼の性が、そうさせたんだろうか。
霧澄は魅楼の隠された顔を見つめていた。
「「ごめん・・・」」
霧澄はハッとして周りを見た。今、誰かの声が重なった気がしたからだ。
あぁ、やっぱり似てる。“あの人”に。
「謝んなよ」
思わず口に出していた。
「お前が何かしたかよ、お前が奴隷制度を作ったのかよ。違うだろ?」
霧澄は魅楼の頭に手を乗せ、髪をクシャクシャにした。
魅楼は肩を震わせ、両腕で隠していた顔をゆっくりと出した。
鼻水が出ていて、目には涙が溜まっていて、顔を歪めていた。
「確かに俺も最初はカッとしちまったけどよ、お前を責める理由なんてなかった」
霧澄は魅楼の頭から手を離し、俯いた。
「あれぇ、魅楼サン。起きてたんだ」
聞き覚えのある声が聞こえた。翠柴の声だった。
タイミングの悪い声に、驚いて心臓が暴れていた。胸を押さえ、顔を歪めた。
同じく霧澄も驚いたようで、胸に手を当てていた。

