零があった。
零は光でも闇でもなく、ただただあり続けるモノ。 
零には太陽と月があった。
太陽は光を、月は闇を創り出した。
やがて、世界は人間を作り、人間は欲望を得た。
人間は二つの大きな国を創り上げた。
そして、人間は太陽と月を欲した。神々しく壮大な空に輝き続ける二つの宝を。
だが、両方を手に入れることが出来なかった。
一つの国は太陽を。一つの国は月を。
太陽を輝かせる国、名を“光の国”
月を輝かせる国、名を“闇の国”
零は境界線となり、国を分けた。
神に等しきその輝きを、奪い合う戦いが永きに渡り続いている。
そして、国の王を“後継者”に。
二つの国に産まれた二人の後継者。哀れにも宿命を背負わされる。
哀れな人間が気付く事はなかった。二つの輝きの“共有”に。

そして誰かがこう呟く。
「馬鹿な人間共・・・」と。