薄暗い空。
大粒の雨。
高波が岩へとぶつかっては水しぶきがあがる。
岩上にはずぶ濡れに濡れた章大の姿。
空を見上げ
涙に濡れた顔を洗い流す。
「…章大…。」
壊れた傘を差し出す信五。
「…。」
肩を震わせたまま振り向こうとしない章大。
「お前…泣いてるん?」
じっと章大の後姿を見つめる信五。
「…な…泣いてなんか…ない…。」
腕で涙を拭うと振り返り作り笑いをこぼす。
「無理するなや。」
想わず章大を抱きしめる信五。
「うわああああああ。」
声をあげ泣き崩れる章大。
「こんなとこおったら風邪引くやろう?」
着ていた上着を脱ぐと章大の頭に被せる。
「帰ろう?みんなのとこに。」
肩に手を回すと章大を抱き起こす。


