焦点の合わない視線。
自然と涙が頬をつたう。
「…死なせたくないんや…。」
呟く信五。
ー笑わせるなや。弟を見殺しにしたお前があいつを救うやと?ー
不適な笑み。
ー助けられるわけがない。そんなこと自分自身が一番分かってるやろう?ー
「何度も言わせるな。あの時とちゃうねん。」
再び折りたたみナイフを取り出すと左手首へと。
「何してんねん。」
ナイフが握られた右手を両手で掴む。
「章大。」
動揺した瞳。
ナイフを握っている手の力が抜けると地面へとナイフが落ちる。
ナイフを拾い上げる章大。
「さっき様子おかしかったから。」
微笑みかける章大。


