薄暗い森の中。
木々が不気味に揺れざわめきをあげる。
おぼつかない足取り。
濁り凍りついた瞳。
ーお前に何が出来る。逃げるんやろう。あの時のように…。ー
低い耳障りな声。
「…や…めろ。…やめて…くれ…。」
頭を抱え込む信五。
ーお前には無理や。そうやろうー
不気味な笑み。
「逃げない。もう逃げひん。あの時とはちゃうねん。」
正気さを取り戻そうと必死に戦う。
ーあきらめろう。あいつは死ぬよ。あの時と同じ。お前の前で苦しみ足掻き。死んでいく。ー
「やめろ。あいつは死なない。死なせない。」
振り絞る声。
頬をつたい落ちる涙。


