「あの時の俺は負け知らずでTVや雑誌の取材を受けるたびに俺はそこらの誰よりもバスケが上手いって勘違いしててん。そこそこ女にももてて天狗になってたんや。笑っちゃうやろ?」
苦笑する忠義。
握られた拳に力が入る。
「そんな時やった…。この足を失ったんは…。」
足首を押さえる。
「表向きは…練習中のケガ…。靭帯損傷。ほんまはちゃうねん。割れたビンで刺されてん。…刺されたんや…。」
目を伏せる忠義。
「ごめん。俺…。」
俯く博貴。
「気にするなや。知らへんかったんやから。それにな今思うと確かに調子にのってたんや。ライトを浴びるたびにその世界に魅了されててん。俺ってすごいんちゃうかって。天才ちゃうかって。アホやろう?」
苦笑する忠義。
「そんなことあらひん。誰やってあんな華やかな世界知ったら思うやろう。」
忠義を見つめる亮。
「逃げたかってん。あの船に乗って。バスケのやれない俺は必要とされひんねん。眩しいくらいのライトが消えればただの暗闇やった。や…やから…現実から逃げるために船に乗ってん。」
肩を震わせうつむく忠義。
そんな忠義の姿に集まる視線。


