弱く儚いモノ達へ





暗闇の中 近づいてくる影。
章大と共に戻ってくる忠義。
   

「さっきは悪かった。」

ボッソと呟く博貴。
   

「別にええよ。お前の言う通りやから。」

火の傍に腰をおろす忠義。
その横には金魚の糞のように座り込む章大。
   

「えっ?」


驚く博貴。
   



「選手やってん。バスケの…。」




火をじっと見つめたまま語りだす忠義。
   

「博貴の言うた通りTVにも雑誌にも載ったことあるねん…。」

唇が微かに震える。
   

「無理に話さなくてもええで。」


手首を握り締めたまま忠義へと声をかける信五。
   

「聞いて欲しいんや。もう自分を嘘にしなくない。嘘にしたくないねん。」


自然と頬をつたう涙。
忠義に集まる視線。