静かな波の音。
月明かりが夜の海を照らす。
岩場に座る忠義。
その横にちょこんと腰を下ろす章大。
忠義の後姿を見つめる信五。
「気にするなや。あいつら悪気があった訳ない思うねん。」
声をかける信五。
「分かってる。頭冷やしてから戻るわ。」
振り向き作り笑いをこぼす忠義。
「ほな。先に戻るわ。章大。戻るで。」
首を振る章大。
「嫌やなくて…行くで。」
呆れる信五。
それでも首を振り頑として立とうしない章大。
「章大。一人にしてやろう?」
章大の肩へと手を伸ばす。
その手を振り払う章大。
「かまへんよ。こいつしゃべれひんし。」
呟く忠義。
その背中は寂しさを感じさせる。
「ほな。戻るわ。」
忠義と章大に背を向け歩いていく。


