騒いでいると藤田君との出来事を忘れる事が出来て、心が楽になった。
それにタケルの言う通りだ。
都合はいいかもしれないけど、ななちゃんの事を聞いたら別れよう。藤田君だって遊び半分だろうし。残りの半分は好奇心だろうか。ともかくわたしに対する本気の気持ちなんて、カケラもないだろうし。
お互いに本気ではない。都合のいい相手ということだろう。
なんだかそれって悲しいな、と少し思ったけどお互い様なのだ。悲しむ必要なんてない。
それからカナとタケルと15分程他愛のない会話を交わし、各自家に帰って行った。
足どりは不思議と軽い。キスされた事を考えると重い気持ちになったが、気楽に行こう、と考えられるわたしがいた。
気にしない事。気にしない事。呪文のように頭の中で反復する。
わたしは須賀部長が好きで、藤田君はななちゃんの事を知っている人。好きな人じゃない。
「よし」
自室のベットに寝そべりながら威勢のいい声を上げる。何が“よし”なのかは自分でもわからなかったが、その日は安らかに眠りに就く事ができたので、“よし”とすることにした。
