「まあ、そう落ち込むなよ」
タケルのいつも通りのあっけらかんとした口調に、カナが「落ち込むな、って無理だからこうして泣いてるんでしょう」と呆れたように反応した。カナの言う通りだと、口には出さなかったが俯きながら同意した。
「いや、けどさ。調子いいかもしんねーけど、“なずなちゃん”の事聞いたら、直ぐ別れちゃえば?相手だって、話を聞く限りおまえがマジで好きっつー訳じゃなさそうじゃん」
「じゃあ、なんで?」
「あー、遊び、みたいな…っい!」
タケルの口元が笑っていた。カナがタケルを咎める前に、わたしの黄金の右手(実際はただの右手だが)がタケルの頭を叩いていた。ほとんど無意識で、それはまるでいつものわたしがタケルに対する態度そのものだった。
「タケルの、あほ!!馬鹿やろう!」
「ごめ、ぶっ、ごめん」
「今笑ったでしょう!?不謹慎なやつ!」
「笑ってねーよ!まさか、笑うなんて、あはは!その顔で怒るなよ!ウケるっ」
