藤田君の名前を出さずに2人に昨日と今日あった出来事を話した。キスされた事は胸の内に秘めておく。
「馬鹿ね」
カナがぴしゃり、と言った。心から呆れているようにも見えたし、どこか哀れんでいるようにも見えた。
「その人の話ではなずなちゃんは…もう死んでるんでしょう。知ってどうするの?」
わたしはハッとする。知ってどうするかなんて考えてもいなかった。本当にわたしは馬鹿だ。ななちゃんが生きているから、ななちゃんが今どうしているか知りたい。それでもって連絡先を知りたい。そんな理由ならともかく、カナが言う通りななちゃんは死んでいる。知って、それで終わりだ。
「ど、どうもしない、けど…けど、知りたい」
「菜乃子が興味本位でななちゃんの事を知りたいって言ってる訳じゃないってわかってるけど…。考えも無いのに先走って。ちょっと冷静になりなさい」
「う、…ん」
カナの口調は穏やかで、冷静だった。同い年とは思えない。わたしもカナみたいに大人になれたら、こんなにも苦しい思いをせずに済んだのだろうか。
