先輩の事が、本気で好きだった。
大好き、だった。
『須、賀部長!』
『?』
『……っ、さよなら、』
『ばいばい』
あの時の“ばいばい”という須賀部長の別れの挨拶が、どれだけ絶望的に聞こえたか。須賀部長にしてみればただのいつも通りの挨拶に違いない。だけど。
「――っあ゙ー…もぅ、やだ」
やだな。明日、学校行きたくないな。やだな。先輩の顔見れないし。やだな。藤田君に、会いたくないな…。
「…う〜〜〜っ」
駄目だ。先輩が好きだ。
藤田君と付き合うと言ったのは自分自身。もう先輩の事が好きとか言ってられないんだろう。
タケル、あんたの気持ちが今なら痛い程わかるよ。好きな人の事は頭でもわかっていても、忘れられない。忘れられる訳がない。
「ぅっ…、ひく、」
「菜乃子?」
「うぅ……っ、」
「なにやってんだおまえ」
「ちょっとは空気読みなさいよ」
「う…?カナ、とタケル…」
ドアの入口でキョトン、とした表情でこちらを見ている2人と目が合った。
