一瞬、何が起きたのかわからず思考が停止する。驚いて涙は嘘のようにぴたりと止まった。
止まった思考が動き出した時には、「!!」綺麗な顔がどアップで目の前にあった。
睫毛やっぱ長いな肌綺麗だちくしょー、…じゃなくて!何がどうなってるんだ!?
今度はわたしが困惑する番だ。訳がわからずオロオロしていると、藤田君の手がゆっくりとわたしの顔に延びてきた。
「っ?」
「とりあえず、涙拭いとけ」
「ん、」
長い指がわたしの涙を拭い取る。次いで、制服の裾でわたしの涙を拭いた。
「あ、わ、ちょっとまって、」「んだよ」わたしは慌ててその手を掴んで止めた。藤田君の声色は不満げだ。
「ふ、服の裾、濡れちゃうから、もう、いいよ。ありがとう」
「……。そう?」
「うん、そ、そう。ありがとう」
心臓がドキドキとかいうかわいいもんじゃない。もはやバクバクだ。動揺して上手く喋れない。なんかわたし、これじゃヘタレみたいじゃん。
「…あんた」
「な、んでしょう」
「名前は?」
「えっと、菜乃子。朝倉、菜乃子」
「菜乃子、ね。とりあえず菜乃子、手」
「…て?………!!!!」
