「わ、たしは、あなたとは付き合えない」
「………」

ななちゃんの事は勿論、知りたい。いっぱい聞きたい事がある。
だけどそのためにこの人と付き合えるかと言えば、答えはNOだ。わたしは、須賀部長がやっぱり好きだから、無理なのだ。

「…いーの?それで」

つまらない、と声色が物語っていた。不機嫌、というかどこか怒っているようにも見えるその表情に一瞬たじろいだが、わたしはキッ、と見つめ返す。

「いーの。それで。ななちゃんの事は知りたいけど、付き合うとは、別だと思うの…デス」
「ふーん」

ギシ、とベッドが音をたてて小さく揺れた。わたしが寝ているベッドから男子生徒が離れた為だ。「つまんねー」とひとりごちて、横目でわたしを見た。

「…最後に1つだけ教えてやるよ」
「ホントに!?」

思わず身体を上げて相手をを見た。
ホントホント。ニヤニヤ笑いながらカーテンに手をかけながら軽い口調で言った。


「“沢谷なずな”は、死んだ」

「……………え…?」


相手はもう1度、「死んだの、あいつは」どーでもいい、そんな軽い口調でサラリと言ったのだ。