悶々といろいろ考えている最中に、タケルが蚊の鳴くような声でボソリ、呟いた。いつものハイテンションなタケルを知っているだけに、今目の前にしているタケルが妙に薄気味悪かった。
「あの、さ」
「う、うん」
「今からカラオケ行こう。…てか、行くぞ!問答無用で付き合え!!」
「へ!?いや、ちょっと待て!わたしは強制的に行かなきゃならない―――って、待って!引っ張んないで!」
どうやらわたしはこのままタケルとカラオケに行かなければならないらしい。タケルがわたしを半ば引きずるようにして引っ張ってずんずん進んで行く。
意味がわからない!と思うと同時に、よかった。と思う自分が居た。
急に元気になったタケルの態度が例えわたしを気遣って取り繕っているものだとしても、それだけの余裕が多少なりともあるのだ。
「オラ!早く歩けっ」
「待ってよ!!ちゃんと歩くから、もう少しスピード落としてってば!」
例えタケルがうっすら涙目だとしても、わたしの手を掴む手が微かに震えていたとしても。
今だけは見て見ぬフリをしてあげようと思った。
