お隣りのあなた。

 


べき、と豪快な音を起てて脆いプラスチックのスプーンはわたしの手の中でその役目を最後まで果たす事無く命尽きた。タケルが目を見開いてわたしの手の中で半分に折れたスプーンを凝視している。

「んな、ななな何言ってんの!?」
「おまえ、ツッコミ所が多くてツッコミが追いつけねえよ」
「須賀部長は、尊敬してるけど、す、好きとか、そんなんじゃ、…確かにカッコイイけど!優しいし紳士で素敵だけど!」
「とりあえず落ち着け」

どもりまくるわたしにタケルはどうどう、と馬か牛でも手なずけるような動作でわたしを制した。気にくわなかったが、タケルの言う通りだ。わたしは使えなくなったスプーンをトレイの隅に置いて小さく息を吸って、吐き出した。

「落ち着けたか?」
「ン、まあ。さっきよりは冷静になれた気がする」

わたしは呼吸を調えながらいつもの調子を取り戻すように努める。
「よかったよかった」タケルが小ばかにするように笑いながら飲み物を口にした。その言い様に少しいらついたのでタケルの足を蹴ってやった。

「ッ!?てめ」
「ごめん、足が長くて」