お隣りのあなた。

 

思考が停止する。

ん?あれ?あれれれ?


『よかった』

『菜乃子ちゃんに彼氏が居なくて、ってこと』


これは、どういう事だ?
今わたしの身に一体何が起きているのだろう。
自分のいい風に、勝手に解釈してしまってもいいのだろうか。
須賀部長は、わたしに気があると、解釈してもいいのだろうか。…期待してもいいのだろうか。

心臓が高鳴る。

どくん、どくん、どくん、と心臓が騒ぐ。
落ち着こうにも、落ち着けない状態。

目の前には優しくいつものように微笑む部長。

「あ、あの須賀部長……!」
「ん?何だい?」

形の良い唇から言葉が零れて、今更ながら綺麗だと見とれてしまう。

「その、今のは、」

どういう意味?そう聞く前にわたしの携帯電話からメロディーが流れる。
どう考えたって相手は1人しかいないじゃないか。

「(あのヤロー……っ!!)」

着信:タケル

「電話みたいだけど、出なくてもいいの?」

部長のその不思議そうな一声にわたしははっ、として我にかえる。

「え、あ、はい。それじゃあこれで失礼します」
「うん。またね」
「あ、はい」