お隣りのあなた。



特に夢を見た日は、嫌なことばかり考えてしまうのだ。どうしても。


11年間音信不通、ななちゃんに関する噂すらも無い。

ななちゃんは無事でいるのか、
ななちゃんは元気なのか、
ななちゃんは何処に居るのか、


「……い………おい」


ななちゃんは、生きているのか――――


「…い………おい、菜乃子!」


タケルの声に、わたしはビクリ、と肩を揺らす。
黒板を走る白いチョーク。化学の先生の後ろ姿。おしゃべりで軽くざわめく化学実験室。

「……あ……」
「お前何ボサッとしてんだよ」

後ろの席から呆れた声。横に座るカナは船を漕いでいる状態。

「…ちょっと、考え事してただけ」
「うわ!菜乃子が考え事!?頭大丈夫!?」
「うるさいなあ!…それよりわたしになんか用でもあんの?」

あくまでも小声を2人して心掛けながらの会話を交わす。いつもならタケルの頭を1発殴っていたところだが、そんな元気も沸かなかった。

「あー、そうそう。今日の朝の御礼のマック、放課後行こうぜ!」

今朝、そういえばそんな約束もしたな、と思い出す。すっかり忘れていた。

「わかった」

そう返事をすると、後ろでよっしゃ!と威勢の良い声が聞こえた。