お隣りのあなた。




突然の激しい女の子の泣き声にわたしとカナの意識はそちらに向く。
見れば、教室の入り口の近くで複数の女子生徒に支えられながら、教室の中へと千鳥足でふらふらと歩いて来る所だった。
俯いていて顔はよく見えないものの見慣れない顔だったので、きっと違うクラスの子だろう。

「ど、どうしたのかな」
「…さあ」

泣いている女の子は支えている女の子(同じクラス)の1人の席に着いて、軽く深呼吸した。
クラスの中の雰囲気が、何となく張り詰める。しゃべりにくい雰囲気だったのでわたしを含め他の生徒達もコソコソと小声で話す。しかしこの静かな状況でコソコソと話すのは悪目立ちしていた。
そんな中、泣いている女の子が「なんで?」と掠れた声でつぶやく。

「意味、わかんないんだけど…」
「ミキ、気にすることないよ」

どうやら泣いていた子はミキという名前らしい。わたしはカナと小声で話つつ、こっそりと彼女等の会話に聞き耳を立てた。

「だって、意味わかんなくない?なんであんな理由でミキ、振られなきゃならないわけ?」
「顔いいから、ちょっと調子のってるだけだよ」
「そうだよミキ!寧ろあんな奴に振られて良かったじゃん」

どうやらミキという子は告白してひどい理由で振られたようだった。
カナが予想通りと言った軽く肩をくすめてみせた。