お隣りのあなた。



学校に到着したのは登校時間ギリギリの頃だった。
ちゃんと時間内には到着したものの、担任に軽いお説教をタケルと2人で食らう羽目になった。

「おはよ、菜乃子」
「カナ!おはよ」
「ちょっと俺には挨拶は無い訳?」
「無いわね」
「ざまーみろタケル」
「ちょっ、俺の扱い酷くね?」

偶然に偶然が重なりわたしたちは同じクラスで、席が近かった。嬉しい事にわたしとカナは隣の席だ。そしてタケルはわたしの後ろ。その横の席は不在だ。そこは入学して暫くして学校を辞めた子の席だった。先生の話によれば毎年そういう子は居るらしい。珍しい事ではない。

「そこちょっと黙っとけ」
「すいませーん」

タケルがおどけたように先生に返事を返す。クスクス、と小さな笑いの渦が教室を包む。いつもの事だ。担任もいつもの事なので諦めているようで、注意した後は自分の話に流れを持っていく。

「ねえ菜乃子」退屈な担任の話が一段落したのちにカナが話し掛けてきた。
「ン、何?」
「今日、見たんでしょ」
「…?何を?」
「夢」

カナにはわたしが時々ななちゃんの夢を見る事を話てある。こうして学校に遅く来る時はたいていななちゃんの夢を見た時だと知って、カナは敢えてわたしに聞く。
わたしは小さく苦笑いして頷くと「やっぱりね」と少し呆れてカナが言った。