「……ゆめ」


あれからもう11年経ってわたしはあの時よりは確実に大人になった。もう16歳。高校生になった。
だけどその11年の内にななちゃんに会った事は1度だって無い。まだ、大人じゃないということなのだろうか。

『なずなは鳥なの』

今なら理解出来るあの台詞。
あれからななちゃんはどうなったのか、わたしは知らない。

『…ほ、んと?また、ななちゃんに会える?』

「(久しぶりにななちゃんの夢みた…)」

ななちゃんの夢を見た時は、必ずと言っていいほど悪い事が連続して起こる。
…確か今日は英語の小テストがあったはずだ。
ついてない、と思う。

ドアの外でお母さんが、「菜乃子いい加減起きないと遅刻するわよー」
「わかってるーっ」

お決まりの台詞に、お決まりの台詞で返す。
ベッドから降りて制服に着替える。

…大丈夫。
今回の小テストの範囲は得意な所だから、悪い点は取らないはずだ。そう言い聞かせて自分に喝を入れる。ななちゃんなんて、関係無いさ。

関係、無い。