「いい加減にしなよ!!」
ななちゃんのその一喝にななちゃんのままとお母さんは黙り、わたしもびっくりして黙る。ついでに騒いでいたギャラリーもピタ、と静まった。
「なずなが全部わるいって言ってるでしょう!?なんでなずなを怒んないのっ!?菜乃子ちゃんは、わるくないんだってば!」
本当に、ななちゃんは怒っていた。とにかく、今までにないくらいの大声だった。
「…そうね…」
幾分冷静になったお母さんがポツリとつぶやく。
「ななちゃんが悪いかどうかはともかく、こんな公共の場で話すことじゃないわね。とりあえず、家に帰りましょ」
「だから、菜乃子ちゃんが、」
「…ケイコ」「まま!」
まだ何か言いたいことがたくさんあるような顔をしていたななちゃんのままは、2人に咎められてグッ、と押し黙った。
しばしの沈黙のあと、「帰るわよ、なずな」ななちゃんのままがななちゃんの手を引いて歩き始めた。ななちゃんは今回ばかりは、抵抗しなかった。
「………わたし達も帰りましょ。その頬を冷やさなきゃ」
割れ物でも扱うような手つきでわたしの頬に触れたお母さんに、わたしは小さく頷いた。
