「どっちなのよ」
お母さんがわたしの頭を撫でながら困ったように問い掛ける。ななちゃんちなままは相変わらず怒っているし、ななちゃんも怒っているようだったし。誰もお母さんの質問に答える人は居なかった。
「…とにかく、菜乃子はもう泣き止みなさい」
そう言ってわたしと目線を同じにもってきたお母さんの目が見開かれる。「あんた、これどうしたの…?」わたしの赤く腫れた頬を優しく触りながら、お母さんが言った。
「わたしがやったのよ」
やっぱり淡々とした口調のななちゃんのままは怖い。「ケイコ、どういうこと?」そう言ったお母さんの口調も、わたしを怒る時よりもよっぽど怖かった。
「言ったでしょう?うちの子をたぶらかすから悪いって」
「ケイコ!!」
「何よ。本当のこと言っただけじゃないの」
「だからって叩くことないじゃない!」
いつの間にかお母さんは立ち上がってななちゃんのままに怒鳴る勢いで抗議し、ななちゃんのままも又負けじとお母さんに対抗した。
わたしは泣き止まない、親は喧嘩を始める。辺りは騒然とした。ギャラリーも、ななちゃんのままとお母さんの喧嘩の仲介をする気はないらしく、(というよりは出来ない)ただただ遠回しに見ているだけ。
一行に終わらないこの不毛な喧嘩に終止符を打ったのは、他でもない、ななちゃんだった。
