「……、そう。ならいいんだけど」
「おう。それじゃ、また明日な」
タケルは、嘘吐きだ。どこが大丈夫なんだ。
「カラオケはいいんだけど、菜乃子は今日部活あるんじゃないの?」
「……たまには休もうと」
休む必要がなくなったのだから、部活にいかなきゃ。と、タケルの背を見送りながらぼんやりと考える。わたしにはその背中が泣いているように見えて仕方がなかった。
「菜乃子、あたし生徒会室行かなきゃいけないから、もういくよ?ちゃんと部活行きなさいよ?」
「あ、うん。また明日」
カナが、不安げな瞳でわたしを見たあと「また、明日」と言って小さく手を振って教室を出て行く。
カナはなんとなく、わたしがいつもと違うことを感じ取っているんだろう。
カナはお母さんみたいだ。本人に言ったら、「こんな娘御免だわ」とばっさり切り捨てられそうだけど。
