明らかに先生の顔がつまらん、と言った風にゆがむ。「しょうがないな、また今度頼もう」とポツリとつぶやいた先生に、思わず、「また今度があるのかよ!」と、つっこんだ。やはり、心の中でだが。口に出したら、……もう言わずとも知れている。
「それじゃあ、今日のHRは終わりにするぞ。挨拶」
「起立ー。礼」
委員長の掛け声に生徒たちが、大小さまざまな挨拶をして、ばらばらと教室を出て行く。
「タケル!」
「んあ?」
タケルが教室を去ってしまう前に、わたしは慌ててタケルに声を掛ける。スポーツバックを肩に掛けたタケルがわたしを見た。
「今日、よかったらカラオケどうっ?」
「カラオケ?」
「菜乃子カラオケ好きなのね」若干呆れた声でカナが言うものだからわたしは意味もなく慌ててフォローを入れた。「違う、いや、好きだけど」「好きだけど?」
「好きだけど、っていうか、今日は……なんていうか特別というか」
「わけわかんねーぞ」
口ごもるわたしに、タケルは苦笑いした。どうやらカラオケに誘うわたしの意図を汲み取ってくれたようだ。「悪いけど、」タケルは苦笑いしつつ、わたしの誘いを断った。
「今日部活あるし。それに、俺大丈夫だから」
