「菜乃子、早くいこうぜ。先生来るぞ」
「う、うん」
タケルに促されてわたしはその背中を追うようにして教室に入った。先生がまだ教室に来ていないせいか、教室内は生徒達の声でざわめいていた。
カナが机の中から教科書とノートを取り出している所を見て、わたしは思わず目を反らした。ほとんど反射的に、だ。
『こんな想い、……忘れたいんだよ』
わたしには、タケルの気持ちがわからない。
カナの事を好きでいては、いけないのだろうか。
好きでいることは、駄目なのだろうか。
彼氏がいると、駄目?カナが彼氏の事を話しているのが苦しいから?
わたしには、
「菜乃子、どうかした?疲れたような顔してるけど……」
わからない。
「……何でもないよ。それより、授業何だっけ?」
「そう?生物Ⅰだよ」
わからないよ、タケル。
理解できないんだ。
