「どこに行ったんだろうね」
「さあ……静かでいいじゃない」
カナが冷静にわたしの質問に応えた。確かに静かだ。こんな日もいいかもしれないと考えて、少し笑った。タケルがいないと変に絡んでくる人がいないから気が抜ける。たまには、ね。うん。
「なに笑ってんだよ」
「う、わあ……」
「なんだその失礼な反応」
「別にー」
「タケルって、神出鬼没よね」
「え、そお?」
まるで自分がそうだと気付いていないタケルはケラケラと笑いながら椅子を引いて腰掛けた。
そして思い出したように、「そうそう、俺さあ、」
「何よ。いつものどうでもいい話?」
半ば投げやりにわたしはタケルに反応する。窓の外の景色を見遣る。今日は雲一つない快晴だ。
「おまえ、本当に失礼な奴だな!」
「怒っちゃ駄目よタケル。菜乃子が言ってる事は正しいよ」
「カナまで……」
はあ、とタケルがため息を吐いた。あからさまにショックを受けているのが分かった。
「それより、何言おうとしたのよ」
「そうそう。
俺、彼女できたんだ」
一瞬、自分の耳を疑った。
