禁断の恋はじめます

「ずっと会ってみたかった。
友之の子供に……。
だけど勇気がなくて……。
そんなとき啓吾の記事を見たわ。
それから池端　啓吾を調べまくった。
間違いない…そう思った。
実物に会いに行った時
啓吾が友之に重なったわ。
ﾋﾟｯﾁを走り回る姿　ﾎﾞｰﾙを追う目
何もかもが…友之に生きうつしだった。」


裕子はそう言うと
ｺｰﾋｰをのみほした。


「話しかけたら…声まで似ていて
つい…おとうさんにそっくりって
言ってしまったわ。
啓吾は似てないですと言って笑った。
そうよね…
啓吾は友之の友人夫婦が育てていたんだもん。」


「あなたが前田?さん?」


「そう…。
思わず嘘ついちゃった前田って。」


「それじゃ　Jのﾁｰﾑに啓吾のこと
流したのもあなた?」


「そう。
だって…啓吾が有名になったら
いつこの真実がばれるかわからないわ。
傷つけるくらいなら
あきらめた方がいいのよ。」


「なんで・・・・・。
どんなにうちら家族が傷ついたか
悩んで泣いて…真実を啓吾に
打ち明けたのか……。」

私は悔しくて　裕子を睨みつけた。


「いつか言わなきゃいけないことよ。
真実を知った啓吾は私に行ったわ。
『行くところがないから…少しの間
おいて下さい。』ってね……。
あの日　啓吾を迎えに行ったの。
可哀そうにずっと泣いていたわ。」


「あなたのせいでしょ?」


「私の?私は救ってあげただけ。
友之が私を地獄から救ってくれた
お返しを　啓吾にしたかった。」



「じゃあどうして恋人になるの?」

私は立ち上がった。